十一代垂仁天皇
(5)出石の藤ともみじ

   蛇足になるが、『記』は、「天之日矛」譚の後に「秋山之下氷壮夫と春山之霞壮夫」の説話を記す。この説話も、『古事記』全訳注、次田真幸(講談社学術文庫)では、「天之日矛と同じ帰化人であった出石族が伝承した説話」と解説する。一体、出石族とは何か? 遺伝学的に根拠のある人種なのか? このでたらめの解説が不合理である。そもそも、この説話に出てくる「藤の花」の「藤」は日本固有種であり、朝鮮半島には無いのだ。また、兄の「秋山」は「紅葉」を表わすと解説するが、「モミジ」も日本固有種であるのだ。「日本の紅葉の美」は、世界中で特出であるとの評価をうけているのだ。故に、この説話は、倭人以外に創れるわけがない。藤もモミジも無い朝鮮半島に出自を持つ出石族がどのようにして、藤とモミジの特性を理解し、この説話を作れたというのか。文系の学者はどれだけ日本人を貶めるのか。自虐史観の害毒を感じる。次田真幸の解説で、『古事記』を読む、日本人が気の毒である。